診療科のご案内
循環器内科
心血管画像と心エコー
心血管画像 Cardiovascular image
冠動脈CT
冠動脈CTは、心臓の筋肉に酸素や栄養分を供給する「冠動脈」という血管の状態を画像化する検査方法です。
狭心症や心筋梗塞などの診断を行います。
利点
- 非侵襲的検査:冠動脈CTはカテーテル検査に比較して身体への負担が少ない検査です。
- 外来検査:検査のために入院する必要はありません。
- 動脈硬化(プラーク)の可視化:血管の細さ(狭窄度)に加え、血管についたプラーク自体を可視化することが可能です。
欠点
- 硬くなった動脈硬化(石灰化)が多いと正確な評価ができないことがあります。
- 造影剤の副作用(アレルギー、腎機能障害など)が起こる可能性があります。
当院ではシーメンス社製のNEAOTOM Alphaという世界初の「フォトンカウンティング CT」を採用しています。この革新的な技術は、従来のCTスキャナーと比較して解像度が向上し、より少ない造影剤量で撮像が可能です。スペクトルデータと呼ばれるデータを収集することで石灰化病変の評価性能も向上しています(下図)。

冠動脈CT検査の流れ:板橋中央総合病院のYoutubeにも解説動画を作成しています。
検査前準備
- 検査前3時間は絶食となります。水・お茶の摂取は可能です。
- 検査着に着替えます。
検査開始
- 心電図電極をつけ、血圧を測定します。
- 造影剤の投与のための点滴注射を行います。
- 冠動脈を広げる(拡張させる)硝酸剤のスプレー剤を使用します。
- スキャン開始:造影剤を使用しない写真から撮像を始めます。
- 造影剤の投与:テスト投与を行い問題なければ、本撮影で冠動脈を撮像します。
- 体調に変化がなければ、検査後の血圧を測定し点滴を抜去して検査終了です。
医療関係者の方へ
検査のみの依頼
板橋中央総合病院では冠動脈CT検査のご予約が可能です。初診外来の待ち時間なく、先生方からの依頼で検査が可能です。
必要書類を記載いただき、放射線予約直通へご連絡ください。
検査予約をご相談させていただき当院で検査をさせていただきます。検査後は検査画像とともに放射線専門医による読影結果および循環器内科専門医による読影結果を送付させていただきます。
追加検査が必要な場合、当院へご紹介いただけましたらFFRCT解析も可能です。
FFRCT
冠動脈CTの結果で、重症の狭窄が疑われる患者さまはカテーテル検査および治療を計画します。中等症の狭窄が疑われる患者さまに対しては冠動脈の狭窄が、実際に心臓の血流が不足している状態(虚血)かどうかを判断する必要があります。当院ではハートフロー社のFFRCT (Fractional Flow Reserve Computed Tomography)を行うことが可能です(左図)。FFRCTは撮像した冠動脈CTのデータを用いて血流解析を行い、冠動脈の狭窄が心臓への血流に与える影響を数値的に評価します。FFRCTを行うことで不要な治療を避けるとともに、適切な治療戦略の立案を支援します。
FFRCTが必要な場合
冠動脈CTの結果説明時に必要な患者さまにはFFRCTの説明をさせていただきます。
検査に同意いただきますと、すでに撮像したCT画像を用いて解析を開始いたします。
結果には数日かかります。

心臓核医学検査
心臓核医学検査は、心臓の血流や機能を評価するために行われる画像検査です。微量の放射性物質を体内に注射し、専用のカメラで撮影することで、心筋梗塞や狭心症の診断に役立ちます。近年ではATTR型心アミロイドーシスや中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)の診断に用いられることもあります。
利点
- 非侵襲的検査:負荷心筋シンチグラフィもカテーテル検査に比較して身体への負担が少ない検査です。使用する放射性物質は腎臓への影響がわずかであるため、腎臓の機能が低下した患者さまでも検査を安全に受けていただけます。
- 外来検査:検査のために入院する必要はありません。
- 機能的評価:心筋の血流量の検査のため虚血状態の可否を可視化することが可能です。
欠点
- 血管自体を評価できないため、血管の狭窄度合いを検査することはできません。
- 他の臓器へ流れ込んだ微量放射線物質がアーチファクトとして影響し、診断が難しいことがあります。
検査の流れ
1.事前準備
検査の12時間以上前からカフェインや特定の薬の摂取を控えていただきます。場合によっては食事の制限があります。
2.放射性物質の投与
微量の放射性物質を注射します。
3.撮影
専用のガンマカメラを使用して、心臓の画像を取得します。
4.負荷検査の施行
運動負荷や薬物(アデノシン)による負荷検査を行います。検査中に微量の放射性物質を再度注射します。
5.撮影
再度専用のガンマカメラを使用して、心臓の画像を取得します。
安全性について
心臓核医学検査で使用される放射性物質の量は少なく、安全に配慮されています。妊娠中または授乳中の方は、事前に医師にご相談ください。

提供:トーアエイヨー株式会社 一部改訂
医療関係者の方へ
検査のみの依頼
板橋中央総合病院では心筋シンチグラフィの予約が可能です。初診外来の待ち時間なく、先生方からの依頼で検査が可能です。
必要書類を記載いただき、放射線予約直通へご連絡ください。
検査予約をご相談させていただき当院で検査をさせていただきます。検査後は検査画像とともに循環器内科専門医による読影結果を送付させていただきます。
心臓MRI
心臓MRIは、磁気共鳴画像法を利用して心臓の構造や機能を詳細に検査する方法です。放射線を使用しないため、患者さまへの身体的負担が少なく、安全な検査として知られています。
利点
- 心臓の詳細な構造を確認できるので主に心筋症の鑑別や検査に使用されます。
- 放射線を使用せずに検査することが可能です。
欠点
- 検査時間が長く、息どめを繰り返して撮像していきます。
- ペースメーカーや体内金属があると施行できません。
- 閉所恐怖症の方が撮像できない可能性があります。
- 造影剤の副作用(アレルギー、腎機能障害など)が起こる可能性があります。

提供:トーアエイヨー株式会社
心エコー
心臓エコー検査のご案内
循環器内科では、心臓エコー(心臓超音波検査)を用いて、心臓の状態を詳しく調べています。この検査は、心臓の形や動き、血液の流れを確認するための安全で痛みのない検査です。
心臓エコー検査には2つの方法があります
1.経胸壁心エコー(TTE)
胸に超音波のプローブ(機器)を当てて心臓の様子を調べます。身体の外側から行うため、特別な準備は必要ありません。心臓の動きや弁の働きを確認するための基本的な検査です。
2.経食道心エコー(TEE)
食道に細いプローブを挿入して、心臓をより詳しく調べる方法です。食道が心臓のすぐ近くを通っているため、非常に鮮明な画像を得ることができます。特に、弁膜症や心臓内部の詳細な観察が必要な場合に行います。検査前に食止めなどの準備が必要です。
この検査でわかること
- 心臓の形やサイズ
- 心臓の筋肉の動き
- 弁の異常(狭窄や逆流など)
- 血液の流れや血栓の有無
検査の特徴
- 痛みがなく、放射線を使用しない安全な検査です。
- 診断や治療方針の決定に欠かせない重要な情報を得ることができます。
心臓エコー検査は、心臓病の早期発見や治療計画に役立ちます。
不安な点やご質問がありましたら、医師またはスタッフまでお気軽にお尋ねください。

画像提供:株式会社フィリップス・ジャパン
当院でのエコー検査
心エコーグループでは、年間約3,865例の経胸壁心エコー検査、153例の経食道心エコー検査を行っており(2023年度)、正確な検査に基づいた、治療方針の決定と患者さまへの説明に心がけております。
最新の心臓超音波機器(Philips, Canon)を用いて標準的な検査に加えて3次元画像解析も行っております。
当院でのサポート
心臓弁膜症や、心不全など、聞いたことがあるようで普段関わらない病気への、検査や治療の説明に戸惑うことや、よく分からないことも多いと思います。
当院では、患者さまへ分かりやすく説明することを心がけております。遠慮なく質問していたければ嬉しいです。