当院は東京都板橋区にあるIMSグループの病院です。厚生労働省臨床研修指定病院 日本医療機能評価機構認定病院 東京都がん診療連携協力病院 English 中文

IMSグループ医療法人社団明芳会 板橋中央総合病院 / 板橋中央総合病院附属 板橋セントラルクリニック

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診療科のご案内

そけいヘルニア外来

そけいヘルニアはどんな病気?どうしてなるのですか?

人間の内臓は“腹膜”という袋で包まれています。さらに外側を筋肉が包み、この袋が飛び出すのを防いでいます。
ちょうど大きな水風船の入ったバケツの様なものです。
バケツの底に弱い部分があると、圧力で穴が開き、そこから風船が飛び出してきます。
人間の体も同じです。人間の“バケツの底”は太もものつけ根にあります。
この部分はもともと筋肉が弱く、隙間が開いています。
ここの部分に穴が開き、腹膜と一緒にお腹の脂肪や腸が飛び出すと、ぷっくりと膨れてきます。
これが“そけいヘルニア”です。
俗に言う「脱腸」ですが、子供だけの病気ではありません。
先天的な要因・・・生まれつき筋肉の隙間から腹膜が飛び出している場合。
年齢的な要因・・・年齢と共におなかの筋肉が弱くなる場合。
環境的な要因・・・職業や習慣でおなかに力を入れることが多い場合。

そけいヘルニアは「バケツと風船」の関係に似ています
そけいヘルニアは「バケツと風船」の関係に似ています。
実際のそけいヘルニアの様式図(男性の場合)
実際のそけいヘルニアの様式図

この絵の向かって右側のそけい部は正常です。向かって左側のそけい部にヘルニアを起こしています。
この絵の場合、睾丸につながる管の筋肉を貫く穴が大きく広がってしまい、そこから腹膜が飛び出しています。

どんな人がなりやすい?

どんな症状ですか?

出たり引っ込んだりするのが特徴です

立った時やおなかに力を入れた時、太もものつけ根が“ぷっくり”と膨らんできませんか?
そんな症状が見られたら、そけいヘルニアの可能性があります。
最初はピンポン玉くらいだったものが、時間とともに大きくなり、こぶしの大きさになることもあります。
バケツの穴から出た水風船は手で押したり、バケツを横にすれば引っ込みます。ヘルニアも同じです。
膨れても手で押さえたり、寝転がってしまうと引っ込んでしまう、というのがヘルニアの最大の特徴です。
飛び出しているときに“違和感”や“軽い痛み・重い痛み”を感じる方もいますが、通常は飛び出すこと以外の症状はないことが普通です。
ただし、今まですぐに引っ込んだものが、どうやっても引っ込まない場合、“嵌頓(かんとん)”といって激しい痛みや腸が腐ったりして、緊急手術が必要となる事もあります。“嵌頓”を起こす前に治療をすることがポイントです。
長く使ったバケツほどボロがでるように、ヘルニアも中年以降に発症することが多い病気です。
また、体の構造上、男性に多いのも特徴ですが、女性にもみられます。
女性の場合、膨れるという症状より、痛みのほうが強く現れることもあります。

どんな症状ですか?
嵌頓(かんとん)とは・・・

飛び出した腸がお腹に戻らなくなり、開いた穴の部分で腸が締め付けられる状態を言います。
通常激しい痛みと、ヘルニア部分の熱・変色(赤黒くなります)など、通常のヘルニアとは全く違った状況になります。
こうなるとお腹を開けて腸を切らなくてはいけない場合があり、ぐっと手術は大変になります。

嵌頓(かんとん)とは

そけいヘルニアの種類

間接型ヘルニア(外そけいヘルニア)

多くのヘルニアがこの形をとります。
精索(精液の通る管や血管が束になったもの・・・矢印)にくっついてヘルニア嚢(袋)が存在し、下腹壁動脈の外側からヘルニアが飛び出すので、外そけいヘルニアともいいます。
比較的若い人はほとんどがこのタイプで、高齢者にも多いタイプです。

間接型
直接型ヘルニア(内そけいヘルニア)

間接型の次に多いタイプです。
弱くなった筋肉を貫いて、ヘルニアが直接飛び出しているタイプです。
下腹壁動脈(矢印)の内側からヘルニアが飛び出すので内そけいヘルニアともいいます。
ほとんどが高齢者で、若い人は少ないです。両側のヘルニアの人もこのタイプが多いです。

直接型
大腿ヘルニア

大腿輪(大腿動静脈と大腿神経が出てくる穴)を通ってヘルニアが飛び出してくるタイプです。
そけい靭帯よりも足側にヘルニアが存在します。
ほとんどが女性で、高齢者に多く若い人には少ないヘルニアです。
嵌頓(かんとん)を起こしやすく、なるべく早く手術をしたほうが良いでしょう。

大腿ヘルニア

そけい部に軟部陰影(ヘルニア、矢印)を認めます。
子宮円靭帯(矢印)には付着せずに、大腿血管のすぐ横でそけい靭帯(矢印)より尾側の輪(大腿輪)より索状物が出ているのが確認できます(矢印)。

どんな治療法をしますか?

当院の治療法

そけいヘルニアの治療は手術しかありません。
残念ながら薬や装具では治りません。

手術方法の選択

最新の腹腔鏡下手術をはじめ、クーゲルパッチ法、ダイレクトクーゲル法、メッシュプラグ法、PHS・UHS法、そしてメッシュを使用しないマーシー法による修復など、病態に一番あった手術法で治療します。

腹腔鏡下手術

当院では腹腔鏡を使ったヘルニア修復術を行っています。
以下に腹腔鏡下ヘルニア手術の利点と欠点をあげます。

利点
  1. きずが小さい(きずの数は増える)
  2. 痛みは少なく、早期に社会復帰ができる
  3. 飛び出している部分を直接見ながら手術ができる
    ⇒穴をより確実に塞ぐことができる
欠点
  1. 費用が高くなる
  2. 手術時間が長くなる
  3. 腹腔鏡手術独特の合併症の可能性がある
    ・・・腸閉塞、腸管・血管損傷など
  4. 通常より大きな傷での手術に切り替わることがある
    (ただし3,4番目の合併症の可能性は非常に低いです)
実際の腹腔鏡下ヘルニア修復術

下記をクリックしますと、実際の手術写真を用いた詳しい内容をご覧いただけます。
手術の写真で気分が悪くなるような方はご覧になるのはご遠慮ください。

Kugel patch(クーゲルパッチ)法

バケツの底に穴が開いていたら、あなたならどうしますか?
そう、その穴を塞げばいいのです。
バケツの内側からパッチをして穴を塞ぐように、そけいヘルニアも筋肉と腹膜の間に人工のメッシュシート(Kugel patch:クーゲルパッチといいます)を置いて、穴を塞ぐ手術をします。
通常3cm程度の傷があれば、このメッシュを入れることが可能です。
当院でもこのKugel法での手術が可能です。

Kugel patchのイメージ

通常1週間程度は運動や持続的に腹圧のかかる動作は控えてもらいます。
日常生活の範囲内での動き、旅行、運転などは退院後より支障ありません。

Mesh-Plug(メッシュプラグ)法

開いている穴をピンポイントに塞ぐのに適しています。
ちょうど穴の開いたバケツに、底から栓をするようなイメージです。
さらに外側から布を当てて、バケツの底(筋肉)を補強します。
当院では主に再発ヘルニアや前立腺手術後の治療に使います。
通常1週間程度は運動や持続的に腹圧のかかる動作は控えてもらいます。

Mesh-Plug(メッシュプラグ)法
Mesh-Plugのイメージ
PHS,UHS(プロ-リンヘルニアシステム、ウルトラライトヘルニアシステム)法

2枚のメッシュを縦に棒でつないだような形のメッシュです。
メッシュの1枚をヘルニアの穴から筋肉の内側へ、もう1枚を筋肉の外に広げ、ちょうど穴を塞ぎながら弱くなった筋肉をメッシュでサンドイッチする方法です。
理論上はとても良い方法ですが、内側のメッシュがうまくお腹の中で広がってくれないと再発しやすいという欠点があります。
通常1週間程度は運動や持続的に腹圧のかかる動作は控えてもらいます。
日常生活の範囲内での動き、旅行、運転などは退院後より支障ありません。

PHS,UHS(プロ-リンヘルニアシステム、ウルトラライトヘルニアシステム)法
PHS,UHSのイメージ
Marcy(マーシー)法

開いた穴を縫って塞ぎます。メッシュのような人工物を使わないことが最大の特徴です。
女性は完全に閉鎖することが可能ですが、男性は精索があるため、完全に閉鎖することはできません。
大きな穴を無理して閉じたり、弱い筋肉を縫い合わせると、おなかに力を入れたときに縫い合わせた部分が裂けて再発の原因となります。
よって、飛び出してくる穴が小さくて、周りの筋肉(バケツの底)も比較的丈夫な間接型ヘルニアのみに適応となります。
特に若い女性の場合、筋肉は丈夫で飛び出す穴が小さいことが多いので、この方法で1~2cmの傷で手術をすることが可能です。
若い男性も対象になることがあります。
通常2週間程度は運動や持続的に腹圧のかかる動作は控えてもらいます。

Marcy法のイメージ
傷がわかりにくい手術

腹腔鏡手術の最大のメリットは体にやさしい手術であること、といわれています。
傷が小さく、痛みを少なくすることができます。

傷がわかりにくい手術の詳細

下の写真をご覧下さい。
この方は左右両方のそけいヘルニアの手術を受けた方です。
いかがですか?傷がわかりにくいですよね。

実はよく見るとおへそに傷があるのです。
このおへその傷からカメラや手術器具を入れて手術を行います。
これは単孔式腹腔鏡下ヘルニア修復術といって腹腔鏡下手術の一種ですが、傷が少ない分さらに高度な技術が必要とされます。 現在のところ、この手術を行っている病院は全国的にもごく少数です。
手術時間はクーゲル法などの腹腔鏡を使わない通常の手術に比べると長くなりますが(2~3倍)、この方法で手術を行うと、たとえ両側のそけいヘルニアであっても、ぱっと見は傷がわかりにくくなります。

きずのない手術
きずのない手術

すぐ手術をしなくてはいけませんか?

ヘルニア自体はすぐに命にかかわる病気ではありません。
その意味では御自身で手術を決心した時が、手術のベストタイミングといえます。

しかし、ヘルニア自体が放って置いても自然に治る病気でないこと、大きくなると手術が難しくなる可能性があること、そして「嵌頓(かんとん)」を起こす可能性があることを考えるとなるべく早い時期に手術を受けた方が得策でしょう。
ヘルニアとはちょっとした勇気と時間があれば治る病気なのですから。

費用はどのくらいかかりますか?

健康保険を使った3割負担で、およそ8~9万円(※)になります。
両側の場合にはおよそ10~12万円(※1)になります。

腹腔鏡下手術では片側でも両側でも14~16万円(※)になります。

※ 入院日数や「健康保険限度額適用認定証」の提示等で金額が多少前後することがあります。

費用はどのくらいかかりますか?

初診から終診までの流れ

初診

まず、外来受診していただき、診断、治療方針を決めます。
手術が必要な場合は、このときに麻酔を含めた手術治療が安全に行えるか判断するために、術前検査を行います(採血、レントゲン検査、心電図、肺活量検査など)。
手術に関しての説明と詳しく書いた説明書などもお渡しします。

初診
入院(手術前日)、手術当日

いよいよ入院です。手術前日に入院していただき、手術の準備をします。夕食まで食事はとることができます。
入院翌日に手術を行います。通常歩行して手術室に向かいます。
手術は基本的には全身麻酔で行うので、手術中は眠った状態です。ただし、状況により下半身麻酔(腰椎麻酔)で行うこともあります。
手術が終わると麻酔が覚めますが、2時間くらいは麻酔の影響でうまく動くことができなかったり、体に力が入らないのでベッド上で安静にしていただきます。
麻酔が覚めたら歩行することが可能です。

入院(手術前日)、手術当日
入院期間は3日間です

手術日の夕方から食事をお出しします。
入院は手術前日、手術当日、術後1日です。入院中にシャワーを浴びていただきます。
退院後は入浴も可能ですが、心配な方はシャワーを浴びてください。
また、デスクワークであれば退院後1~2日で仕事に復帰することも可能でしょう。

入院期間は3~5日間です
退院後外来受診

手術後約1,2週間後に外来を受診していただきます。
傷の状態や全身状態のチェックをします。
この時点で異常がなければすべての治療・診察は終了となります。
このとき、今後の注意点などもお話させていただきます。

退院後外来受診

当院のヘルニアクリニカルパス

統括医師の紹介

医員 新居 高
医員 新居 高
専門分野
  • 一般外科
専門医認定/資格等
  • 日本外科学会外科専門医
ひとこと

そけいヘルニア(脱腸)は外科手術の中でも、最も頻度の高い、よくある病気です。正しい診断、適切な治療を行うことで、元の生活に戻ることができます。 しかし、放置しておくことで悪化することや、嵌頓して緊急手術が必要になることもあります。 できる限り苦痛のない治療、合併症を起こさない治療を心がけ、病気で悩まれている方の少しでも助けになればと考えています。

診療案内

予約について

ご受診希望の方は下記までお問い合わせいただき、ご予約をお願いいたします。

03-3967-1181(代)
内線:8100 
FAX:03-5914-3222
月曜~土曜 8:30~16:30

紹介状をお持ちの方

紹介状をお持ちの患者さまも予約優先制(予約なしでも診察可能)になります。
ご予約をご希望の方は、板橋中央総合病院 外科外来へお電話いただき、受診予約をしてください。受診時には検査データ(血液検査,CTなど)をご用意ください。

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