当院で可能な腹腔鏡手術
胃がんとは

日本をはじめ、アジアの国に多い胃がん。
以前は日本での癌死亡率1位でしたが(現在は肺がんが1位)、現在は胃カメラ検査などの進歩により早期の胃がんが多く発見されるようになりました。
胃がんの症状
早期がんの場合、症状がないことがほとんどです。検診や何かのきっかけで胃の検査(胃カメラなど)を受けて、たまたま発見されることが多いようです。
がんが進行していくと、腹痛(みぞおち付近)、吐き気、食欲低下、貧血、体重減少、胃の張った感じなど、さまざまな症状を出してきます。
このことからも、日ごろから「症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がないうちにチェック」をするようにしましょう。
胃がんの治療法
胃がんの治療を決める場合、胃がんの進行度が重要になってきます。
進行度の中でも、がんが胃の壁にどの程度深く根を下ろしているか、それが治療を決める上で特に重要になってきます。
下の図を見てください。胃の壁は大きく4つの層に分かれています。
粘膜に発生したがん(下図の一番左)は、進行するにつれその下の層(粘膜下層)、さらに深い層へと進行していき最終的には胃の壁を突き破ります(下図の一番右)。がんの根が深くなるにつれ、リンパ節や他の臓器(肝臓や卵巣、骨など)、腹膜へがん細胞が飛んでいく(転移といいます)可能性が高くなります。
日本の胃がんの取り扱いの決め事で、がんの根が粘膜および粘膜下層までのものを早期がんといい、それ以外は全て進行がんに分類されます。

がんの根が粘膜にとどまる場合(下図の一番左)・・・多くの場合、内視鏡(胃カメラ)にて切除することが可能です。
場所や大きさ、形によっては次に挙げるような手術治療(多くは腹腔鏡下部分切除、腹腔鏡補助下胃切除術)が行われます。

がんの根が粘膜下層まででとどまる場合(下図の左から2番目)・・・ここまでがんの根が降りてくると、10〜20%の確率でがん細胞が周りのリンパ節に飛んでいる可能性が出てきます。こうなるとがんの部分だけでなく、その周りのリンパ節も切除する必要があり、通常は胃切除術を行います。
腹腔鏡補助下胃切除術の良い適応です。

それ以上深い進行がんの場合・・・多くの病院で開腹手術が行われます。
この深さまでがんが根を下ろすと、リンパ節への転移の確率が高くなるだけでなく、さらに離れたリンパ節にまでがんが飛んでいる可能性が出てきます。
そうなると広範囲のリンパ節をしっかり取ってくる必要があるため、それを腹腔鏡下で確実に行うのにはまだ無理があるといわれているのです。

一方、がんが広範囲に広がりすぎると手術治療だけではがん細胞をやっつけることができないこともあります。
その際には抗がん剤治療を行うことになります。抗がん剤治療に使用する薬の種類や使用方法、使用量にはいくつも組み合わせがあります。
胃がんの根の深さ(深達度)
当院での治療

粘膜までのがん・・・内視鏡(胃カメラ)による切除を第一に考えます。
内科にて治療を担当します。
場所、形、大きさなどにより内視鏡では切除が難しい場合、外科にて腹腔鏡による切除(部分切除、胃切除)、胃内手術(局所切除)を行います。

粘膜下層のがん・・・リンパ節切除も含めた腹腔鏡補助下胃切除術を第一に選択します。

それ以上の進行がん・・・開腹手術を第一に考えていますが、実際には開腹手術と同等の範囲でリンパ節を切除することは多くの場合可能です。そこで腹腔鏡下でも開腹と同等の手術が行える場合には、患者さまに充分な説明をした上で希望がある場合には腹腔鏡下手術を行うこともあります。

広範囲にがん細胞が広がったがん・・・抗がん剤による治療を行います。薬の効き具合や副作用をみながら薬の種類、量、使用方法を変えていきます。抗がん剤により手術が可能になった場合、手術を行うこともあります。
入院期間など
術後8日間の入院のスケジュールを標準としています。
詳細は当院で使用しているクリニカルパスを参照してください。(作成中)