当院で可能な腹腔鏡手術
大腸がんとは

食生活の欧米化とともに大腸がんは今や日本でも最も多い癌の一つになってきました。
大腸がんに対しても開腹手術と同じ手術が腹腔鏡下に行うことが可能です。
大腸がんの症状
早期がんの場合、症状がないことがほとんどです。検診や何かのきっかけで大腸の検査(大腸カメラなど)を受けて、たまたま発見されることが多いようです。
がんが進行していくと、便通異常(便秘と下痢を繰り返す、便が細くなるなど)、便やガスが出なくなる腸閉塞症状、貧血、体重減少、腹痛、食欲低下、お腹にしこりが触れるなどの症状を出してきます。
このことからも、日ごろから「症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がないうちにチェック」をするようにしましょう。
大腸がんの治療法
大腸がんの治療を決める場合、大腸がんの進行度が重要になってきます。
進行度の中でも、がんが大腸の壁にどの程度深く根を下ろしているか、それが治療を決める上で特に重要になってきます。
下の図を見てください。大腸の壁は大きく4つの層に分かれています。
粘膜に発生したがん(下図の一番左)は、進行するにつれその下の層(粘膜下層)、さらに深い層へと進行していき最終的には大腸の壁を突き破ります(下図の一番右)。がんの根が深くなるにつれ、リンパ節や他の臓器(肝臓や卵巣、骨など)、腹膜へがん細胞が飛んでいく(転移といいます)可能性が高くなります。
日本の大腸がんの取り扱いの決め事で、がんの根が粘膜および粘膜下層までのものを早期がんといい、それ以外は全て進行がんに分類されます。

内視鏡(大腸カメラ)による切除…がんが大腸の壁だけにあり(転移がない)、取った場所から再発する可能性がなければ内視鏡で切除するだけで、ほぼ完全に癌を治すことが可能です。
これを満たす条件として
1. がん細胞が粘膜(下図の一番左)もしくは、粘膜下層(下図の左から2番目)のごく浅い部分(上層3分の1までの深さ)にまでとどまるもの
2. 取ったがんの根の先のがん細胞の顔つきが悪くないもの(顔つきが悪い癌とは「未分化癌」とか「低分化癌」といわれます
3. 取った組織の断端とがんの根の先端との間に十分な距離があるもの
4. リンパ管や小さな血管の中にがん細胞が入り込んでいないもの

が挙げられます。もちろん、がん細胞が腸管側に残っていない事も条件になります。
(最近はもう少しゆるい条件でも内視鏡切除のみで治療できるのではないか、と検討がされています。)

治療の方法
内視鏡の先端から“針金の輪(スネアーといいます)”を出し、ポリープの首根っこを締めます。平らなポリープの場合、ポリープの下に生理食塩水などを注入し、凸型のポリープにしてから同じようにスネアーをかけます。その後高周波電流を流して焼き切ります。


手術治療
内視鏡で取りきれないがんは手術治療を行うことになります。
手術治療には腹腔鏡手術開腹手術があります。
どちらの手術法を取るかは病院、担当外科医によって差があるようですが、早期がんには腹腔鏡手術、進行がんには開腹手術を選択することが多いようです。

化学療法など
がん細胞が広範囲に広がりすぎると手術治療だけではがん細胞をやっつけることが できないこともあります。 その際には抗がん剤治療を行うことになります。 抗がん剤治療に使用する薬の種類や使用方法、使用量にはいくつも組み合わせがあります。
がんの根の深さ
当院での治療
内視鏡による治療
ごく早期の大腸がんは内視鏡による治療を第一に選択します。
前述の基準に従い、顕微鏡の結果により手術治療を追加することがあります。
当院では主に消化器内科の医師が担当します。

手術治療
内視鏡で取りきれないがんは手術治療を行うことになります。手術治療には腹腔鏡手術と開腹手術があります。

腹腔鏡手術
現在、内視鏡では取りきれない癌の多くは腹腔鏡での切除を行っています。腹腔鏡手術には多くのメリットがあるため、開腹手術と同等の治療が可能であれば積極的に腹腔鏡手術を導入しています。
以前は早期がんだけに行われていた時期もありますが、進行がんでも開腹手術と同等の治療成績が残せるとの報告が多くされるようになっています。スペインのある外科医は腹腔鏡手術の方が開腹手術より治療成績と報告しています。
(ここでいう治療成績とは癌治療後の生存率や再発率のことを指しています。)

開腹手術
以前より行われているおなかを大きく切る手術です。
以下のような場合は開腹手術を選択するようにしています。
 1.がんの根が腸管を突き破り、顔を出している場合
 2.他の臓器にがんの根がおりている場合
 3.がんが巨大な場合
 4.腹腔鏡手術では治療が不完全になってしまうが、開腹手術ではそれが可能な場合
 5.全身状態の非常に悪い患者さまの場合
 6.患者さまが開腹手術を希望された場合

化学療法など
がん細胞が広範囲に広がりすぎると手術治療だけではがん細胞をやっつけることができないこともあります。 その際には抗がん剤治療を行うことになります。抗がん剤治療に使用する薬の種類や使用方法、使用量にはいくつも組み合わせがあります。

再発癌の治療
大腸がんの場合、離れた場所に癌が転移していても、手術的に取りきれれば手術により予後が良いことが証明されています。可能な限り再発した部分の切除を考えますが、切除が不可能な場合は前述の化学療法、場所や症状に応じた放射線治療、がんによって生じる様々な症状(痛みや食欲不振)を和らげる緩和治療と、その患者さまに合った治療を行います。
入院期間など
術後8日間の入院のスケジュールを標準としています。
詳細は当院で使用しているクリニカルパスを参照してください。(作成中)