患者さんへ

専門医療のご案内

2020年3月末をもって、東京女子医科大学腎臓外科が消滅したため、その中核となるメンバーが、同年4月より板橋中央総合病院臓器移植センターに赴任いたしました。
当センターは主として臓器不全の患者さんを対象に治療を行っていますが、特に以下の分野において高度に専門的な医療を提供しております。

 これらの治療を必要とする疾患を持たれた患者さんは、随時当センターを受診してください。また、そうした患者の当センターへのご紹介を検討されている医療機関の先生方も、紹介状とともに当センターを受診させてください。緊急性が高い場合は、当院代表(03-3967-1181)までご連絡ください。

1.腎臓移植

 末期腎不全またはそれに近い病状の方で腎臓移植を希望される場合、健常者から腎臓の提供を受ける「生体腎移植」と亡くなられた方から提供を受ける「献腎移植」があります。
生体腎移植の場合は、自発的に腎臓の提供を希望される健康な成人のドナーの方が必要です。生体腎移植の腎ドナーは6親等以内の血族か3親等以内の姻族に限られ、多くの場合は両親、兄弟姉妹、配偶者です。もしもそうしたドナー候補がおられ、腎移植を希望される場合は、ドナー候補の方と一緒に臓器移植センターを受診してください。特に予約はなくても受診出来ます。また、ドナーの方は腎臓摘出術を受けることになりますが、当センターでは外科的侵襲が少なく術後の回復も早い「腹腔鏡下ドナー腎摘術」を採用し、ドナー様の身体的な負担の軽減に努めております。

 献腎移植の場合は、まず日本臓器移植ネットワークに献腎登録することが必要です。現在のかかりつけ医の紹介状を持参され、当センターを随時受診して頂ければ、登録手続きを進めさせていただきます。登録後は年1回の当センター受診と献腎登録の更新が必要になります。献腎移植は希望者に対して献腎ドナーの件数が少ないため、移植までの待機年数は平均15年程度ですが、ドナーとの組織適合性の程度(いわゆる相性)によって順位が変動するため、1人1人の待機年数がどの程度になるかは予想できないのが実情です。

2.バスキュラーアクセス

 末期腎不全に対して透析治療を行う場合、血液透析と腹膜透析の2種類があります。
血液透析を施行するには、血液を脱血したり返血したりするための血管や仕組みを手術によって作製する必要があります。そうした特殊な血管や仕組みのことを「バスキュラーアクセス」と呼びます。
バスキュラーアクセスには、
1 内シャント
2 (動脈の)表在化
3 人工血管
4 長期留置カテーテル
の4種類があります。末期腎不全となり、透析治療を受けるためのバスキュラーアクセスの作製を希望される方は、かかりつけ医の紹介状を持参され、随時当センターを受診してください。

血液透析のためのバスキュラーアクセスを作製しても、血液が流れにくくなったり閉塞したりすることが少なからず起こります。それを「シャントトラブルまたはアクセストラブル」と呼んでいます。
そうした場合の治療として、
1 PTA(経皮的血管内拡張術)
2 外科的手術
があります。シャントトラブルが起きた場合または起きそうな場合、血液透析は1〜2日に1回は施行する必要があるため、透析病院からの紹介状を持参して早めに当センターを受診してください。バスキュラーアクセスが感染を起こすこともありますが、その場合はできるだけ早く受診してください。

 腹膜透析を導入する場合、PDカテーテルというものを腹部に留置する必要があります。当センターを受診していただき、腹膜透析導入のための精査を受けてから、PDカテーテルの留置術を施行することになります。当センターでは、腹膜透析導入に先がけてPDカテーテルの留置のみを行い、導入時にカテーテルの出口部を作成するという二段階の方式(SMAP法)も取り扱っております。