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当院で可能な腹腔鏡手術
腸閉塞(腸管癒着症)に対する待機手術
腸閉塞(腸管癒着症)に対する待機手術
お腹の手術を受けたことのある患者さまでは、腸と腹壁、腸同士の癒着が必ず起こります。多くの場合、これらの癒着は生活する上でほとんど支障をきたしませんが、中には癒着の部分を中心に腸が折れ曲がったり、ねじれたり、癒着部分でほかの腸が圧迫されたりして腸が詰まる場合があります。
これが癒着性腸閉塞です。
腸閉塞では便やガスが出ないために腸がパンパンに張ってしまい、周期的な痛み、吐き気・嘔吐、お腹の張りといった症状が出現します。
腸閉塞になった時のお腹のレントゲン写真とCT写真です。
腸がゴムホースのように膨れて張っていることが分かると思います。この腸の張りが痛みや吐き気を引き起こします。
この患者さまも以前受けた十二指腸潰瘍の手術のきずがお腹にあり、この手術以降すでに3回、癒着性腸閉塞症状にて入院治療の経験があります。
今回も入院数日前よりやや体調は崩していたものの、当日の夕食までは普通に食事をしていたそうです。ところがその数時間後から突然腹痛とお腹の異常な張り、嘔吐の症状が出現してきました。
このように腸閉塞は突然発症するため、患者さまの多くは「いつ症状がでるか」と恐怖心とともに生活をし、旅行にもなかなか行けない、という方も少なくありません。
理論上は癒着した部分を剥がしてやれば腸閉塞症状は起きなるのですが、以前はこの癒着を剥がすために開腹手術をすると、また新たな癒着を起こし腸閉塞を起こす可能性があるため、あまり積極的に外科手術は行われませんでした。
しかし、腹腔鏡下手術では通常の開腹手術に比べてお腹の中の癒着が起きにくいことが知られています。
当院でも何度も繰り返す癒着性腸閉塞の方には、十分な検討と患者さまへの説明を行い、腹腔鏡下に癒着剥離術を行っています。 腸がパンパンに張った状態では腹腔鏡下手術は困難なため、ある程度腸の張りが取れた時点で手術を行います。
術前にCTなどを撮ることで、ある程度腸が詰まっている場所を予想することも可能な場合があり、手術の際に参考になります。
CTで、どのあたりで腸が詰まっているのか、ある程度予想を付けることができます。
手術前にこういった予想を付ける事が手術を成功に導く鍵でもあります。
今回もCTで の位置を境に膨らんだ腸管が急に細くなっています。
ここが腸閉塞の原因となる癒着が存在する部位と考えられました。
手術の際にも同じ部位が原因となっていることが確認出来ました。
腹腔鏡下手術ではカメラを入れる小さなきずさえあれば、お腹全体を見渡すことが出来ます。
時にはお腹のきずに腸や脂肪がくっつき、カメラで見える範囲に制約がある場合もありますが、必要があればそれらの癒着は丁寧に剥がしていくことが可能です。
また、お腹に二酸化炭素を入れて膨らませるため、お腹の壁に癒着した腸が自然に持ち上がり、原因となる癒着がよりいっそう判りやすくなるという利点もあります。
腸閉塞の原因となる癒着の多くは、1箇所を支点にした捻れや屈曲、ヒモ状の癒着へのはまり込みであり、腹腔鏡下手術ではその部分をピンポイントに治療することが出来ます。
頑固な癒着を剥がす際に、腸管にきずがつくことがありますが、その部分も腹腔鏡下に修復が可能です。
腹腔鏡下腸管癒着剥離術は腸管癒着がもっとも出来にくい環境で手術をすることで、開腹手術で懸念されるような、再癒着による腸閉塞の可能性を最小限に抑えることが出来る手術です。

この先は実際の手術写真が含まれます。このような写真で気分が悪くなるような方はご覧になるのはご遠慮ください。