当院で可能な腹腔鏡手術
虫垂炎とは
虫垂炎とは?
俗に言う“もうちょう”です。腸の中には小腸と大腸があります。
大腸はちょうどお腹を右下から始まり、ぐるりと回ってお尻まで到達し、おしりの穴“肛門”につながります。 虫垂はこの大腸の始まりの部分である盲腸にしっぽのようにヒョロっとくっついています(図参照)。
症状は?
この虫垂がある右の下腹に痛みが出てくるのが特徴です。
ただし、初期にはみぞおちが痛かったり、痛みはなく吐き気だけが症状の場合もあり、胃炎や胃潰瘍と間違うこともあります。 その他の症状としては、発熱、吐き気、歩くときに響く痛みなどがあります。
診断は?
“もうちょう”というと簡単な病気、というイメージがあるかもしれませんが、なかなか診断も難しく、ひどくなった場合の手術は結構大変なことが多いのです。
特に診断は意外に難しく、女性では卵巣や卵管の炎症、大腸そのものの炎症、腸のリンパの炎症などとはっきり区別がつかない場合もあります。
最近では超音波検査やCT検査にて比較的正しく診断をつけることが可能となってきました。
治療は?
現在はほとんどの虫垂炎は抗生物質で散らすことができます。虫垂炎=すぐに手術、という訳ではありません(すぐに手術にしたがる外科医も多いですが・・・)
ただし、抗生物質の治療は手術に比べて治療期間が長くなったり、破裂して膿がおなかに広がったりする可能性があります。 抗生物質で散らす場合でも、医者にしっかりと経過を診ていってもらい、必要ならいつでも手術を行えることが重要です。
手術は?
虫垂炎の手術でも腹腔鏡手術が良い適応となります。
その理由として

1. どのような体格、炎症の程度でも常に同じ小さな傷で手術が可能。
2. 膿が溜まっているような場合でも、おなかの中を充分に洗うことが可能。
3. 虫垂炎以外の異常をチェックできる。(特に女性の場合)
4. 回りの状況を十分に見ながら手術できるので安全である(炎症の強い虫垂を腹腔鏡を使わず小さな傷でやろうとすると、視野が悪く、時に出血、引きちぎれたり、腸管損傷などの危険があります。)
5. きずが化膿することが非常に少ない

逆に腹腔鏡手術で行う欠点としては

1. 必ず全身麻酔が必要
(虫垂炎手術で全身麻酔が脊椎麻酔〜腰からの麻酔〜より危険という証拠はどこにもありません。むしろ欧米など日本以外の国では虫垂炎の手術は全身麻酔で行うことが普通です。虫垂炎手術に伴う麻酔事故のほとんどは、外科医が腰椎麻酔で手術をしながら麻酔管理をすることで起こっています。)
2. 手術費用が高くなる

ことがあげられます。
当院では上記のメリットとデメリットを比べてみても、腹腔鏡手術を勧めています。
入院期間など
術後1〜2日で退院となります。当院でのクリニカルパスはこちらです。(作成中)